結論から :
- 企業が昇進・昇格で要件・参考とするTOEIC L&Rスコアの平均は、 係長・主任515点/課長530点/部長565点/役員600点
- 採用では 新卒545点 、 英語を使用する部署の中途採用620点 。海外では 出張620点/赴任635点
- 社員に期待する平均スコアは 新入社員535点/技術部門560点/営業部門575点 に対し、 海外部門だけ690点 と突出
- 報奨金を支給する企業は27.5% 、資格手当は5.9%、 どちらも支給していない企業が67.2%
- 報奨金の実例62社を集計すると、金額は 2,000円から1,000,000円 まで開き、中央値は45,000円。 同じスコア帯でも金額の幅が非常に大きい
重要な前提 :この記事の企業データは 2019年公表の調査 (調査期間2018年11月〜2019年2月・有効回答528社)です。IIBCが無料で公開している企業調査としては直近のものですが、 7年前の数値である点を必ず踏まえて読んでください 。最新版(2022年版)は入手に登録が必要です。
この記事の信頼性
- 企業データ:IIBC「英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2019」(調査対象=2017年1月〜2018年8月にTOEICの団体一括受験申込またはIPテストを利用した2,442の企業・団体/有効回答528/調査期間2018年11月〜2019年2月)
- 受験者分布:IIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026」(2025年度)
- 報奨金・資格手当の集計は、公式資料に掲載された実例をPDFの座標解析で1件ずつ対応づけたうえで編集部が算出
- 執筆者:「デジタル資格ナビ」編集部
昇進・昇格で企業が求めるスコア
企業が昇進・昇格の要件または参考としているTOEIC L&Rスコアの平均です。
| 場面 | 要件・参考とするスコアの平均 | 回答企業数 |
|---|---|---|
| 昇進・昇格:係長・主任 | 515 点 | 75 社 |
| 昇進・昇格:課長 | 530 点 | 108 社 |
| 新卒採用 | 545 点 | 128 社 |
| 昇進・昇格:部長 | 565 点 | 59 社 |
| 昇進・昇格:役員 | 600 点 | 50 社 |
| 海外出張者の選抜 | 620 点 | 81 社 |
| 英語を使用する部署の中途採用 | 620 点 | 139 社 |
| 海外赴任者の選抜 | 635 点 | 122 社 |
役職が上がるほど求められるスコアも上がり、 係長・主任515点から役員600点まで85点の幅 があります。
意外に見えるのは、 役員に求める600点より、海外赴任者に求める635点の方が高い ことです。役職の高さではなく、 英語を実際に使う場面かどうか で基準が決まっていることが読み取れます。
なお採用時に参考にするテストの種類は、 公開テストとIPテストの両方を使う企業が69.5% で最多でした。昇進・昇格では両方を使う企業が74.9%です。
部門別に期待されるスコア、海外部門だけ690点
同じ調査では、社員・職員に期待する平均スコアも部門別に集計されています。
| 対象 | TOEIC L&R | Speaking | Writing |
|---|---|---|---|
| 新入社員 | 535 点 | 110 点 | 110 点 |
| 中途社員 | 560 点 | 110 点 | 110 点 |
| 技術部門 | 560 点 | 120 点 | 130 点 |
| 営業部門 | 575 点 | 120 点 | 120 点 |
| 海外部門 | 690 点 | 140 点 | 140 点 |
海外部門の690点だけが突出しています。 営業部門575点との差は115点。TOEIC S&Wでも、海外部門はSpeaking・Writingともに140点で、他部門の110〜130点を上回ります。
新入社員に期待されるのが535点である点も押さえておく価値があります。 入社時点で高スコアを求められているわけではなく、要求が上がるのは英語を使う部門に配属されてから という構図です。
報奨金を出す企業は27.5%、3社に2社は何もない
一定のTOEICスコアに到達したときの金銭的な処遇です(複数回答・n=528)。
| 制度 | 実施している企業の割合 |
|---|---|
| 報奨金を支給している(到達時に一時払い) | 27.5% |
| 資格手当を支給している(到達後、毎月支払う) | 5.9% |
| どちらも支給していない | 67.2% |
3社に2社は、スコアを取っても直接の金銭的見返りはありません。 報奨金がある企業でも4社に1社強、毎月の資格手当にいたっては20社に1社程度です。
「TOEICを取ると手当がつく」という話は事実として存在しますが、 それが多数派だと考えるのは誤り だとこのデータは示しています。
報奨金の実例62社、2,000円から100万円まで
同じ資料には、報奨制度を持つ企業の実例が掲載されています。 各社が報奨制度で最も高く設定しているスコアと、その金額 です。62社分をスコア帯別に集計しました。
| 対象スコア帯 | 件数 | 金額の中央値 | 最低額 | 最高額 |
|---|---|---|---|---|
| 900点以上 | 24 社 | 50,000 円 | 5,725 円 | 1,000,000 円 |
| 800点台 | 19 社 | 30,000 円 | 5,000 円 | 100,000 円 |
| 700点台 | 11 社 | 50,000 円 | 20,000 円 | 100,000 円 |
| 700点未満 | 8 社 | 25,000 円 | 2,000 円 | 50,000 円 |
| 全体 | 62 社 | 45,000 円 | 2,000 円 | 1,000,000 円 |
最も目を引くのは 最高額の100万円 ですが、これは990点を対象にした1社の例です。 900点以上でも中央値は50,000円 で、100万円は例外だと押さえてください。
そして 同じスコア帯の中の幅が非常に大きい 。900点以上でも5,725円から100万円まであります。 報奨金の額はスコアではなく、企業ごとの制度設計で決まっている と読むのが妥当です。
もうひとつ、 700点台の中央値50,000円が800点台の30,000円を上回っています 。直感に反しますが、件数が11社と19社と少ないので、この逆転を意味のある差として扱うべきではありません。
資格手当の実例は12社分掲載されており、対象スコアは500〜990点、金額は月1,000円から100,000円の範囲でした(一部は支給期間が12ヵ月・36ヵ月と限定されています)。
現在の受験者分布と重ねると
この企業基準を、2025年度の実際の受験者分布に重ねると、位置がはっきりします。
| 企業が求める水準 | そのスコア以上の受験者割合(公開テスト・2025年度) |
|---|---|
| 昇進:係長・主任 515点 | 上位 約75% (495点以上が75.4%) |
| 昇進:課長 530点/新卒採用 545点 | 上位 66.1% (545点以上) |
| 昇進:部長 565点/役員 600点 | 上位 55.7% (595点以上) |
| 中途採用・海外出張 620点/海外赴任 635点 | 上位 44.9% (645点以上に届けば確実) |
| 海外部門への期待 690点 | 上位 34.3% (695点以上) |
つまり 昇進・昇格の基準は、公開テスト受験者の過半数がすでに満たしている水準 です。一方、 海外部門に期待される690点に届いているのは上位3人に1人 。基準が急に厳しくなるのは、国内の昇進から海外関連の職務に移るところだと分かります。
自分のスコアが全体のどこにあるかはTOEICスコア分布【2026年】700点は上位34.3%で確認できます。
このデータを読むときの注意
正確に扱うために、限界を挙げておきます。
- 調査時点が古い 。2018年11月〜2019年2月の調査で、7年が経過しています
- 回答企業が偏っている 。調査対象はTOEICの団体一括受験申込またはIPテストを利用した企業で、 もともとTOEICを導入している企業 です。日本企業全体の平均ではありません
- 各項目の回答数が少ない 。昇進・昇格の役員は50社、部長は59社です。平均値として扱うには小さい数字です
- 平均であって基準そのものではない 。企業ごとのばらつきは大きく、実例表を見ても同じスコアで金額が数十倍違います
これらを踏まえると、この数字は 「自社の基準がどのあたりにあるかを推測する目安」 であって、 「何点あれば大丈夫」という答えではありません 。
よくある質問
Q. 転職にはTOEIC何点必要ですか。
2019年の調査では、英語を使用する部署の中途採用で要件・参考とするスコアの平均は620点でした(139社)。ただしこれはTOEICを導入している企業の平均で、業種・職種によって大きく変わります。
Q. 昇進にTOEICは必要ですか。
昇進・昇格でTOEICを要件・参考としている企業では、平均が係長・主任515点、課長530点、部長565点、役員600点でした。ただし調査対象がTOEIC導入企業に限られる点に注意してください。
Q. TOEICで報奨金はもらえますか。
報奨金を支給している企業は27.5%、資格手当は5.9%で、67.2%はどちらも支給していません。支給がある場合、実例62社の金額は2,000円〜1,000,000円、中央値は45,000円でした。
Q. 900点取れば100万円もらえますか。
100万円は990点を対象にした1社の例です。900点以上を対象とした24社の中央値は50,000円で、最低は5,725円でした。金額はスコアより企業の制度設計で決まります。
Q. 海外赴任には何点必要ですか。
海外赴任者の選抜で要件・参考とするスコアの平均は635点(122社)、海外出張者は620点(81社)でした。一方、海外部門の社員に期待する平均スコアは690点です。
出典・データについて
企業に関する数値はすべて、IIBC「英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2019」からの転記です。報奨金・資格手当の実例は、同資料に掲載された表をPDFの座標解析でスコアと金額を1件ずつ対応づけ、編集部が集計しました(報奨金62件・資格手当12件)。受験者分布はIIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026」の2025年度データです。
出典
- IIBC「英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2019」(https://www.iibc-global.org/hubfs/library/default/toeic/official_data/lr/katsuyo_2019/pdf/katsuyo_2019_corpo.pdf )
- 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026 — 2025年度 受験者数と平均スコア」(https://www.iibc-global.org/hubfs/library/default/toeic/official_data/pdf/program-data-analysis-2026.pdf )
- IIBC「公開テスト 平均スコア・スコア分布 一覧」(https://www.iibc-global.org/toeic/official_data.html )

