結論から :
- TOEIC L&R 公開テストを受けた 社会人の平均スコアは649点 (308,493人/IIBC公式・2025年度)。学生592点より 57点高い
- 職種別の最高は 海外717点 、最低は 製造561点 で 156点の差 がある。営業627点・技術599点と、人数の多い職種ほど平均は低い
- 役職別は 役員679点>部長670点>課長655点 と上がるが、 派遣社員650点が係長633点・一般社員634点を上回る 逆転が起きている
- 英語圏への 滞在経験なしは501点、2年より長い滞在ありは750点 で、249点ひらく(IPテスト・企業団体)
- 同じ「一般社員」でも 公開テスト634点に対しIPテストは546点 。88点の差は実力差ではなく、受験する人が違うことによる差
この記事では、IIBCが公表している2025年度の実受験者データを、社会人の属性ごとに分解します。数値はすべて公式資料からの転記または算出で、推定値は含みません。
この記事の信頼性
- データ:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026」(2025年度=2025年4月〜2026年3月の実受験者データ)
- 属性別の数値は、PDFのグラフから座標解析でラベルと数値の対応を確定させたうえで転記した
- 全区分について「Listening + Reading = Total」が成立することを検算済み
- 執筆者:「デジタル資格ナビ」編集部
社会人の平均は649点、学生より57点高い
まず全体像です。TOEIC L&R 公開テストの2025年度実績を社会人と学生に分けたものです。
| 区分 | 受験者数 | Listening | Reading | 平均スコア |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 755,473 人 | 337 | 279 | 616 点 |
| 社会人 | 308,493 人 | 353 | 296 | 649 点 |
| 学生 | 434,399 人 | 325 | 267 | 592 点 |
よく引用される「TOEICの平均は約600点」は全体(616点)の数字で、 学生が受験者の57.5%を占めるためにそちらへ引っ張られています 。社会人が自分の位置を測るなら、比べる相手は649点です。
なお649点は、公開テスト全体の分布では 645点以上=上位44.9% の位置にあたります。スコア帯ごとの詳しい順位はTOEICのスコア分布【75万人の実数】700点は上位34.3%、900点は23人に1人にまとめています。
職種別、海外717点と製造561点で156点ひらく
社会人を職種で分けると、平均スコアは大きく散らばります。
| 職種 | 受験者数 | Listening | Reading | 平均スコア |
|---|---|---|---|---|
| 海外 | 7,820 人 | 389 | 328 | 717 点 |
| 教育 | 18,323 人 | 381 | 330 | 711 点 |
| 法務 | 5,627 人 | 369 | 329 | 698 点 |
| 財務 | 2,984 人 | 368 | 326 | 694 点 |
| 経営 | 9,715 人 | 361 | 309 | 670 点 |
| 企画 | 17,245 人 | 360 | 308 | 669 点 |
| 広報 | 2,451 人 | 364 | 303 | 668 点 |
| マーケティング | 8,753 人 | 361 | 301 | 662 点 |
| 経理 | 10,269 人 | 353 | 300 | 654 点 |
| 人事 | 6,825 人 | 355 | 296 | 650 点 |
| 研究 | 15,543 人 | 346 | 300 | 647 点 |
| 事務 | 31,728 人 | 354 | 292 | 646 点 |
| 総務 | 6,627 人 | 349 | 290 | 639 点 |
| SE | 21,186 人 | 345 | 292 | 636 点 |
| 購買 | 6,319 人 | 345 | 282 | 627 点 |
| 営業 | 45,007 人 | 344 | 283 | 627 点 |
| 現場作業 | 7,473 人 | 340 | 274 | 614 点 |
| 技術 | 46,755 人 | 329 | 270 | 599 点 |
| 製造 | 8,866 人 | 313 | 248 | 561 点 |
首位の海外717点は当然として、2位が教育711点 である点は見落とされがちです。教育のReadingは330点で、これは全19職種で最も高い値です。ただしIIBCは各職種区分に誰が含まれるかを定義していないため、この区分の内訳までは公式データから分かりません。
一方、 受験者数が多い職種ほど平均は低くなります 。技術46,755人で599点、営業45,007人で627点、事務31,728人で646点。この3職種で受験者の約4割を占めます。つまり 社会人の平均649点は、英語を業務で使う職種の高スコアに押し上げられた数字 で、人数の多い技術・営業の実感とはずれます。
注意点として、 広報2,451人・財務2,984人は受験者数が少なく、年度による変動が大きくなります 。人数の多い職種と同じ精度では読めません。
役職別、派遣社員が係長を上回る
役職で分けると、基本的には上に行くほどスコアが高くなります。ただし例外があります。
| 役職 | 受験者数 | Listening | Reading | 平均スコア |
|---|---|---|---|---|
| 役員 | 6,965 人 | 365 | 315 | 679 点 |
| 部長 | 10,805 人 | 359 | 311 | 670 点 |
| 課長 | 26,975 人 | 354 | 302 | 655 点 |
| 派遣社員 | 11,480 人 | 357 | 293 | 650 点 |
| 一般社員 | 191,974 人 | 347 | 287 | 634 点 |
| 係長 | 28,884 人 | 345 | 289 | 633 点 |
役員679点から係長633点まで46点の幅があります。目を引くのは2点です。
ひとつは 派遣社員650点が、係長633点と一般社員634点を上回っている こと。派遣社員は課長655点に迫る水準です。もうひとつは 係長633点が一般社員634点をわずかに下回っている こと。1点差なので実質的に同じですが、少なくとも「役職が上がれば必ずスコアも上がる」わけではないことは読み取れます。
このデータは 自分で申し込んで公開テストを受けた社会人 のものです。役職や派遣という立場そのものが英語力を決めているのではなく、それぞれの立場で「自費でTOEICを受けようとする人」がどういう層なのかが反映されていると考えるのが自然です。
社歴別、最も高いのは内定者の639点
会社が実施するIPテスト(企業・団体)を社歴で分けると、順番が直感と食い違います。
| 社歴 | 受験者数 | Listening | Reading | 平均スコア |
|---|---|---|---|---|
| 内定者 | 18,502 人 | 342 | 297 | 639 点 |
| 入社2〜5年目 | 82,566 人 | 310 | 252 | 562 点 |
| 入社6〜10年目 | 61,655 人 | 311 | 250 | 561 点 |
| 新入社員 | 62,895 人 | 297 | 243 | 540 点 |
| 入社11年目以上 | 141,343 人 | 293 | 228 | 522 点 |
最も高いのは内定者の639点 で、入社11年目以上の522点とは117点ひらいています。
ただし この数字を「入社するとスコアが下がる」と読んではいけません 。これは同じ人を何年も追跡した数字ではなく、2025年度に受験した人を社歴で切った断面データです。内定者は就職活動でTOEICを対策した直後の層であること、入社11年目以上には大学時代にTOEICが今ほど一般的でなかった世代が含まれること、受験の動機(任意か必須か)が社歴によって違うことなど、複数の要因が混ざっています。 公式データから言えるのは「2025年度に受験した人のうち、内定者の平均が最も高かった」という事実だけ です。
英語圏の滞在経験で249点ひらく
IPテスト(企業・団体)では、受験者に「英語を主言語とする国に滞在したことがありますか」というアンケートが取られています。
| 滞在経験 | 受験者数 | Listening | Reading | 平均スコア |
|---|---|---|---|---|
| 2年より多く | 13,114 人 | 409 | 340 | 750 点 |
| 6カ月以上1年以下 | 12,731 人 | 394 | 321 | 715 点 |
| 1年より多く2年以下 | 6,381 人 | 392 | 320 | 712 点 |
| 6カ月未満 | 96,400 人 | 329 | 267 | 597 点 |
| 滞在経験なし | 240,450 人 | 280 | 222 | 501 点 |
滞在経験なし501点と、2年より長い滞在750点で249点 の差があります。回答者369,076人のうち 65.1%(240,450人)は滞在経験なし で、この層が企業IPテストの平均538点を押し下げています。
ここで 「1年より多く2年以下」712点が「6カ月以上1年以下」715点をわずかに下回っている 点は正直に書いておきます。滞在期間に対してきれいな単調増加ではありません。差は3点で、受験者数も6,381人と12,731人ですから、これをもって「1年を超えると伸びない」と解釈するのは無理があります。 確実に言えるのは、滞在経験なし501点と6カ月未満597点の間、そして6カ月未満と6カ月以上715点の間に大きな段差がある ことです。
同じ「一般社員」でも公開テストとIPテストで88点違う
最後に、数字を読むときに最も注意すべき点です。TOEICには自分で申し込む 公開テスト と、会社や学校が実施する IPテスト があり、同じ属性でもスコアがまったく違います。
| 区分 | 公開テスト | IPテスト(企業・団体) | 差 |
|---|---|---|---|
| 役員 | 679 点 | 586 点 | 93 点 |
| 部長 | 670 点 | 570 点 | 100 点 |
| 課長 | 655 点 | 547 点 | 108 点 |
| 係長 | 633 点 | 540 点 | 93 点 |
| 一般社員 | 634 点 | 546 点 | 88 点 |
| 派遣社員 | 650 点 | 600 点 | 50 点 |
派遣社員を除く5区分で、公開テストが88〜108点高くなっています 。これは同じ役職の人の実力が試験によって変わるという話ではなく、 母集団が違う ということです。公開テストは自費で申し込んだ人だけが受け、IPテストは会社の指示で受けます。
したがって、自分のスコアを比べる相手は受験方法で選ぶ必要があります。 自分で申し込んで受けたなら公開テストの列 、 会社の研修で受けたならIPテストの列 です。ここを取り違えると、実際より高く見えたり低く見えたりします。
なお、派遣社員だけは差が50点と小さく、公開テストとIPテストの両方で相対的に高い位置にあります。
よくある質問
Q. 社会人のTOEIC平均は何点ですか。
公開テストでは649点(2025年度・308,493人)です。会社が実施するIPテストの企業・団体では538点(424,158人)で、110点以上違います。どちらの数字かを確認してください。
Q. 自分の職種の平均より低いと不利ですか。
このデータは「その職種の人の英語力」ではなく「その職種でTOEICを受けた人」の平均です。たとえば技術599点は、技術職46,755人という多数が受験した結果で、英語をあまり使わない人も含まれます。海外717点は、そもそも英語が業務要件の人が受けています。母集団の性質が違うので、そのまま優劣として比べられる数字ではありません。
Q. 昇進にTOEICは効きますか。
このデータからは分かりません。役員679点>部長670点>課長655点という並びは事実ですが、スコアが高いから昇進したのか、昇進する層がもともと英語に投資しているのかは、公式データからは区別できません。
Q. 海外滞在経験がないと高得点は無理ですか。
滞在経験なしの平均は501点ですが、これは240,450人の平均です。公開テストの分布では895点以上が32,348人おり、その全員が滞在経験者ということはありえません。平均の差と、個人が到達できるかどうかは別の話です。
出典・データについて
本記事の数値はすべて、IIBCが公表する下記の公式資料に基づいています。属性別のグラフについては、PDF内の単語座標を解析してラベル・受験者数・スコアの対応を確定させたうえで転記し、全区分で「Listening + Reading = Total」が成立することを検算しています。受験者数の合計が母集団の総数より少ないのは、IIBCが無回答分の掲載を省略しているためです(公式資料p.3に記載)。
出典
- 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026 — 2025年度 受験者数と平均スコア」(https://www.iibc-global.org/hubfs/library/default/toeic/official_data/pdf/program-data-analysis-2026.pdf )
- IIBC「公開テスト 平均スコア・スコア分布 一覧」(https://www.iibc-global.org/toeic/official_data.html )

